日常

【なろう小説】転生したらカレーだった。オシリから出しておいて今更食べたいと思ってももう遅い!生産者が土下座しようが知らないぜ。俺は自由に生きていく。

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カレー

トクン、トクン

俺はいま、産まれようとしている。

いま、どんな状況か把握している。

俺は交通事故に遭って死んだ。つまり転生してしまったんだ。人間の体内にいるんだ。

つまり、俺の今回の人生はウンチっぽい。

ウンチっぽいのだが……、どうやら違うみたいだ。俺はウンチじゃなくてカレーっぽい。

よくある転生モノってなんか主人公が特殊な能力を持ってたりして俺ツエーするみたいだけど、俺もそんな感じなんだ。俺はウンチだけど成分はカレーとして産まれてくる、そういう特殊能力っぽい。

普通だったらウンチとして産まれてくるところを、俺はその類まれなる才能によって、カレーに変化したわけだ。

今から俺は、宿主のオシリから、宿主目線としてはウンチとして産まれてくるわけだが、俺はカレーなんだ。これはハッキリ伝えるつもりだ。俺がカレーなら、食べられることが生涯の目的になるのだから。

そろそろ、俺はこの世に誕生しそうだ。俺の宿主がウンチを出すために踏ん張っている。

だが、宿主に言いたい。俺はウンチじゃなくてカレーだと。

ブリブリ

宿主「んっ、んっ、今日のウンチは出が悪いな」

ブリブリ

宿主「んっ……でも、なんか良い匂いするぞ……カレー?」

俺「プハァッ、やっと出てこれた!おーい!おーい!」

宿主「ッ!?どうした!!」

俺「俺はウンチじゃない!カレーだ!!」

俺は説明する。ウンチじゃない、カレーだということを。つまり俺は美味しく食べられる存在だということを。

宿主「いや、でも……オシリから出てきてるし……」

俺「カレーなんだよっ!信じてくれ!匂いで分かるだろ!!」

宿主「確かに良い匂いはする……だけどオシリからカレーが出てくるわけないし、やっぱウンチじゃないの?」

俺「カレーなんだよ!食べてみてくれよ!」

宿主「いや、ウンチ食べたくないし……」

俺「カレーなんだよ!匂いで分かるだろ!ウンチじゃないって」

宿主「でも、自分のオシリからカレーが出てくるって、そういうことある?」

俺「いいのか?このまま下に落として、そのまま流したらお前は食べれなくなるぞ?俺のカレーを」

宿主「いや、普通に、今日の晩飯はカレーだし、お前がカレーだったとしてもオシリから出したものは流石に食べないよ」

俺「後から食べたいと思っても遅いんだぞ!!」

最早一刻の猶予もない。そろそろ着水しそうだ。

宿主「だから、食べないからいいよっ、んっ」

プリッ

宿主のオシリから切り離され、俺は落ちていく。水面に映った自分の姿、それは間違いなく見た目はウンチだ。だけど、俺はカレーなんだ。

匂いで、分かってくれよ……。

クソッ、落ちていく……。

宿主よ、今更食べたいと思ってももう遅いんだぞ。“親孝行したいときには親は無し”というが、これだってそうだ。

オシリから出たのがカレーで、それをウンチだと思って流してしまったらもう食べられないんだぞ……。

ポチャ

着水してしまった。

俺「おい、聞こえているか。まだ間に合う。お前がすくいあげれば、ちょっと水っぽいがカレーを味わえるぞ」

宿主「悪いな。俺から見たら、お前はウンチなんだ……」

宿主はそう言いながら、洗浄ハンドルに手をかける。

俺「待てっ!!あとから土下座したってもう遅いぞ!俺はカレーなんだぞ!!」

宿主「じゃあな」

ジャーッ

大便用の、勢いがある水流で流されていく。

俺の人生はなんだったのだろうか。水に溶け合って薄れゆく意識の中で考える。

せっかくカレー味のウンチとして産まれてきたのに、オシリから出たというだけで、俺はそのままトイレに流され、死んでいく。

食べられなければ食べられないで自由に生きていくつもりだったが、それも無理そうだ。逃げ場は無い。

宿主「あー、やっぱ流さずに食べておけば良かったかな。オシリからカレーが出るなんて珍しいし」

そんな宿主の声が遠くから聞こえてきたがもう遅い。

あぁ、もうダメだ。完全に水と溶け合う。

自分の存在が何なのか分からなくなってきた。

死ぬ。あと数秒後に俺は死ぬ。もしかしたら、死ぬことこそが真の自由なのかもしれない。これは死ではなく、開放なんだ。

次こそは、オシリから出るカレーじゃなくて、普通のレトルトパックに入っているカレーに産まれたい。

あぁ……終わりだ……。短い一生だった。

FIN

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