【格ゲー】『鉄拳8』原田Pが語る、上位勢がキャラランクや調整を語ることの危うさ。「1000万人が居るシーンで“全てがそれだ”みたいに言われると、メーカーとしてはｱｲﾀﾀﾀ」「関係のない人まで影響受けちゃう」

どぐらさんの切り抜き動画によって界隈がザワついている『鉄拳8』ですが、原田Pが自身のチャンネル「はらだのばぁー」でアップされた動画のなかで、影響力を持つプレイヤーの発言の重大さが語られていました。

この動画の中で語られたトークはとてもタイムリーな内容になっています。今回の記事ではそこの部分を取り上げます。

以下、原田P、翔選手、ときど選手の鼎談で語られた内容になります。
※カギカッコ内が原田Pの発言

動画リンク：原田が初めて語る「あのタイトルと発売日が一緒だった！」

翔選手：プレイヤーにこういうことやってほしいみたいなのあったりするんですか？メーカーとして。

「メッチャメチャあるんじゃない？いっぱいある中で言うと……これ諸刃の剣だなあ。これ視聴者居てほしくないんだけど。タブーではないし悪いことは言わないんだけど、ある意味よく炎上するパターンのやつ。」

「何かと言うと、プレイヤー同士で起きてることがゲームの評価に直結することが多い。タイトルに限らず、なんで（ときどが）稀有な存在って言ってるかというと、ゲームのチューニングとかに文句言わないんですよ。」

「多分思ってるとは思うよ。“アレ強すぎますよね”、番組内では節々で言ってることはあるかもしれないけど、彼（ときど）の大会出るときのスタンスとして、別にそこに言い訳やそこに文句を言うってことを置かないじゃないですか。」

「与えられたものの中でどれだけ楽しんで自分がやれるかってことに凄く命を懸けてて、こんなプレイヤーありがたすぎて。なんでそんなこと言ってるかっていうと、さっきからしつこく言ってるのは、“所詮ゲーム”として作って出してるわけじゃん。」

「対戦ゲームってeスポーツだけをターゲットにしているどころか元々eスポーツなんかないところで作ってたのがたまたま競技化してしまって今ある意味ここまで高みを目指すようなものになっているけども、言うたらお兄ちゃんとか近所のゲームセンターの人たちと楽しめるように作ってたものが突き詰められていくと、近所のお兄ちゃんたちのランキングで言うと、例えば鉄拳で言うと、クマとかジャックが手が長くて強い、ズルいズルいって言われているのが、ときどみたいな層になると“クマとかジャックはそこまでじゃないから”みたいな、意外なキャラが強いみたいな。」

「突き詰めたらこういうティアリストが出来上がって、キャラランキングが決まって、これはSクラスでAでBでって言うじゃないですか。これの影響力って昔はせいぜい地方のゲーセン程度だったんですよ。」

「ときどっていうヤツが居るゲーセンでそういう定説があるけど関西に行ったら違う、九州に行ったら違う、アメリカに行ったらもっと違うだったりする。これはインターネットで言論統制出来るようになったわけですよ。」

「これ何を言いたいかと言うと、翔くんはまだ駆け出しなわけですよ。駆け出しだからまだそうかもしれないけど、影響力は持ち始めてるわけですよ、自分が意識している以上に。例えば、翔くんの大会見て感動したヤツだったり、額だけを見てすげえと思ってるヤツだったり、これ同じですよ影響力としては。」

「中高生とか見てますよ。ましてや次の大会で活躍したらもっと固定ファン増えますよ。そういう人たちからしたら翔くんの一言一言重いんだよね。」

「もしよ？間違ってあなたが“◯◯ってキャラ強すぎるよね”って言った日には、メーカーからするとアチャーですよ。」

「いやいやそれ言うなよみたいな。後ろめたいときはある。他社さんもやるしウチもやってますけど、バグってマジで強いみたいな。バグって4ヶ月コイツ死ぬほど強いみたいな。“ソニーさん早くパッチを承認してくれ”みたいなときはあるんだけど、それは除いても、例えば通常の状態でも、これはそこらへんの人にとってはそんな気にならないことが、ピーキーな世界にいくと非常にこれが悪いって言われるみたいな。」

「でもそのレベルで対戦できている人って世の中に数千人とか、下手したら数百人しかいないレベルで起きてることを、さも1000万本売れてるソフトの間で、1000万人がひとつのタイトルに居るような競技シーンで“全てがそれだ”みたいに言われると、メーカーとしてはｱｲﾀﾀﾀです。で、関係のない人まで影響受けちゃうんですよね。」

「“あのゲームバランス悪いらしいよ”とか、“あのゲームのあのキャラ強すぎるらしいよ”ってなっちゃう。コレってものすごいマイナスマーケティングなんですよ。だって、対戦ゲームなのに崩壊してるみたいな。キーワードが立っちゃうわけです。うちのゲームに限らずなんでもそうですよ。」

「昔はこんなこと影響なかったです。メーカーからすると。一言そんなこと誰かが言ってるみたいな。今はプロゲーマーってのが現れてこういう強い人たち、人を感動させる人たちが現れたでしょ？つまり心の拠り所がメーカーとか作ってる人ではなくて、プレイしている人にまで注目が行くようになった。」

「むしろこっち（プレイヤー側）のほうが純粋無垢に強くなろうとしてやってる人たちだから、ピュアに応援できちゃうわけですよ。作ってるわけでもない、利害関係としては凄い応援したく……開発者応援したいヤツなんていねえよ。“アイツは儲けてやがる”とか。DLCで儲けてそれで良いクルマ乗ってんじゃねえかぐらいに言われるみたいな。それで言うと（ときど、翔は）ピュアに応援したい人でしょ？」

「ピュアに応援したい人がそれ（バランス調整やキャラランク？）言ってみ？どんだけ影響力あるか。これをときどくんとかは絶対言わないんですよ。だから珍しいんですよ、実は。」

「だから、開発やってるヤツはあまり言わないけど、ときどみたいなプレイヤーは開発者結構好きなんですよみんな。（表では？）言わないよそんなこと？調子乗られても困るから。」

「言わないけど、稀有ですよやっぱり。“アイツすげぇなストイックで”って。オレらからするとお客さんはときどだけじゃないわけじゃないですか。物凄い広いわけですよ。全員お客さんだからある意味対等なわけで、地方とか国によっても全然価値観とか遊ばれ方が違うし、その中で、あなた達が思ってる以上に開発者がこのゲームは良いゲームですって言っても誰も信じません。」

「だけど、この人たち（ときど、翔）が良いゲームって言ったら信じるし、この人たちが悪いゲームって言ったら信じるし。」

「……っていう意味でいうと、“やってほしいことありますか？（冒頭の質問）”、自分たちが好きなゲームを自分たちで貶めるの止めてっていう一言を。すげーイヤな言い方したんで炎上したらイヤなんだけど。」

【ときどの意見】

「難しい話ですよ。我々プレイヤーにとっても、どこまで先のことを見据えて発言するのか。言っちゃえばちょっと過激な発言って注目はされやすいじゃないですか。だから、いっときの影響力だとか知名度とかを得ることは容易い発言で、多分あると思うんですよ。」

「そこと、先を見据えた発言をどれだけの割合とか、織り交ぜてやっていくかっていうのは、少なくとも考えてやっていけるといいなって思う。」

「一つのコメント、一つの発言がどういう影響を与えるのか。自分にとってとか全体にとってとか。っていうのを考えると、プロとして上手くやっていけるようにやりやすいんじゃないかなって思う。」

以上が、原田Pの動画で語られたトーク内容になります。

原田Pの言わんとしていることも分かります。

例えば、プロたちが作るキャラランクは必ずしも全てのランク帯に当てはまるわけではないってヤツ。

プロの間だと◯◯は最弱だと言われているけど、一般のランク帯では全然そんなことないよっていうのがあります。スト6だとエドモンド本田やリュウがそこらへんに当てはまるだろうか。リュウは弱キャラでタカシとか言われたりしているけど、初心者にとってはメチャクチャ扱いやすくて簡単なコンボで火力を出しやすい良いキャラです。

だから、プロのキャラランクを総意として受け取るのは良くないっていうのは自分でも分かっています。それを含めて、色々なプレイヤーのキャラ評価を楽しんでいます。要は、自分にとってのキャラランク・キャラ評価は一種の“コンテンツ”として楽しんでいるものです。

調整の話ですが、これはまあ好きに言わせてほしいところ。

原田Pからするとイヤなものかもしれないけど、スト6のJPは本当にクソの塊だったので、アレを長期間放置したのは開発側の失態だったと思います。大幅弱体を受けたことで、“やっぱりJPの調整はダメだったんじゃないか”と答え合わせも出来てしまった。

プロゲーマーもJPに関してはメチャクチャ不満を言っていました。アレは本当におかしかったからね……。

『鉄拳8』も調整やゲーム性で不満が出るのなら、それはプレイヤーがそう思っている率直な意見として受け入れざるを得ない気もする。

発言力のある人が苦言を呈すると大きな影響が出るっていうのは分かります。前回の記事でも取り上げましたが、KNEE選手が「鉄拳8は面白くない」というツイートをしていました。

有名プレイヤーだけに、これは結構波紋を呼ぶ発言と言えます。開発側からするとこういうのは勘弁して欲しいってことですね。このツイートは1500RT、200万インプレッションを越えている。

買おうかどうか迷っているところにこういうツイートをたまたま目にしたら、「有名なプレイヤーがそう評価しているなら買うのやめようかな」ってなるパターンもあるだろうし、それが原田Pの言う“マイナスマーケティング”に該当するはず。

ただ、現在の鉄拳8の評価は、そういった上位勢だけでなく一般プレイヤーからも多く苦言を呈されているのが現状です。もともとそう思っているところにKNEE選手がこのツイートをしたことで、自身の意見を確固たるものにしたプレイヤーも中には居るでしょう。

発言力のあるプレイヤーが軽率なノリで色々言うのは良くないってパターンは確かにあります。

ウメハラさんの“格ゲーの在り方“だとか、ナリ君さんの“スト6マスター＝スト5ゴールド”発言とか、あそこらへんは影響力をもうちょっと考えるべきだったと思う。

記事は以上です。