愚かで醜い人間どもよ、こんにちは。
“愚かで醜い人間”というのは、当然私も含まれている。
こんな醜い種族に生まれてしまったことを、いまは悔いている。
だが、醜いということを自覚することが出来たのはせめてもの救いかもしれない。
なぜ人間が愚かで醜いのか。なぜそれに気が付いたか。話は長くなるが聞いて欲しい。
まずはこれを見てくれ。
お分かりいただけただろうか。
私は、この状況に遭遇して気付いたことがある。
種族の垣根を超えて人間に襲いかかるモンスター達を見て、気付いてしまったのだ。
私達が悪だと思い込んで倒していたモンスターは本当に悪なのか?と。
種族の垣根を超え、共闘してまで私達人間を倒そうとするモンスター達を見て気付いたのだ。人間からしたらモンスター全員が敵だが、モンスターは共闘してただ人間のみに襲いかかってくるのだ。
私達が住んでいる世界には現在316種類のモンスターが存在している。
その316種に及ぶモンスターが、ただ人間のみに敵意を向けて襲いかかってくる。
自分が言いたいのはつまり……
私達が316種類のモンスターを虐殺して得る幸せよりも、私達人類がモンスターに倒され、316種類のモンスターが幸せになる世界のほうが良いのではないか?ということです。
大気や水を汚染し、無闇な殺生を犯し、自然も破壊する人間達。モンスターが憎むのも当然と言える。それだけの“業”が無ければ、モンスター達も結託して襲いかかってくるわけがない。
モンスターの群れをさも悪いやつかのように“まもののむれ”だなんて呼称しているが、その実、本当のモンスターとは私達人間なのではないかと思うのです。
種族の垣根を超えて襲いかかってくるモンスター達と対峙していたとき、そんな感情が浮かんでしまったのです。
もしかして俺たちのほうが悪いことやっているんじゃないかと……。
いやもしかしてではなく、今までやってきた人間のおこないを振り返ってみれば、“悪”なのは明白です。
私は人間ですが、モンスターさんからの誘いがあればいつでもモンスター側に就き、人間どもを滅ぼすことも躊躇しません。私は改心しました。
モンスターを裏切って人間側にひっついているスラミチも、一刀両断したって構いません。
なにが「ぼくは悪いスライムじゃないよ」だ。人間の味方になった時点でそれは悪なんですよ。
本当の正義とは、人類を滅ぼすことだったのです。
改めて言います。316種のモンスターを虐殺して得る人間のみの幸せよりも、人間が絶滅して316種のモンスターが幸せになったほうが……、そっちのほうが幸せと言えるのではないのでしょうか。
人間だけではなく、私達が住まう母なる大地からの視点で見ると、やはりそう考えざるを得ないのです……。
人間はなんて愚かなんだ……!クソッ!!