最近、寒い日が続いていますね……。
みなさんの身体もだいぶ冷えていることでしょう。
そんな方のために、今日はとっておきの怖い話を用意してきました。怖い話で身体を温めてください。
「恐怖の味噌汁」
これは知り合いのBさんから聞いた話です……。
それは、M県S市の閑静な住宅街で起きた出来事でした。
登場人物はOさんと、その母親です。
Oさんというのは、いわゆる子供部屋おじさんと呼ばれる人間です。働かず、かといって母親の家事も手伝わず、自分の部屋に引き篭もって怠惰な日々を過ごしているダメ人間でした。
そんなOを食わせているのが母親です。父親には先立たれ、女手一つでOを食わせています。そんな母親の苦労も理解しないOは今日も叫びます。
O「おいババア!飯はまだか!!」
Oはお腹が減ると母親に飯を作ることを催促します。
母親「ああ、ちょっとまっておくれ……」
カチャカチャ
ガタガタ
母親「さ、出来たよ。待たせたね」
O「あれ、珍しいじゃん、味噌汁?」
母親「たまには味噌汁もどうかと思ってね。あんた昔はアサリの味噌汁好きだったじゃないか」
O「ふ~ん……ま、いいや」
ズズッズズッ
O「へえ~、美味いじゃん。寒い日には味噌汁もいいかもな。」
母親「そうかい、そりゃよかった。それなら毎日作るよ」
-翌朝
O「っち、味方なにやってんだよ!カバーしろよ!おいババア飯!!」
TVゲームのオンラインプレイでイライラしながら母親に飯を催促するO。
母親「はいはい、出来てるよ、味噌汁」
O「よしきた」
ズズッズズッ
O「うめ~、この味噌汁があればプラチナ3に上がれるかもな」
母親「ゲームのことはよくわからないけどプラチナ3っていうのは働くことより凄いのかい?」
O「ババアは黙ってろ!」
バンッ
母親を殴るO。
O「あっ、ごめん……」
母親「いや、あたしが悪かったよ。ゲームがんばんなね。味噌汁も最後まで食べてくおくれよ」
-その翌朝
O「昨日は悪いことしちゃったな……お~いババ……」
そう呼ぶと同時に母親がスッと襖を開けた
母親「はい味噌汁」
O「お、おう……。ありがと」
ズズッズズッ
O「今日は麩の味噌汁か。珍しいな。今日麩の味噌汁……“恐怖の味噌汁”って、そんなギャグみたいな話が小学生の頃流行ったっけな……ハハッ」
少年時代を思い出すO。
……
…………
O「俺、なんでこんなのになっちゃったんだろうな……。好きで引き篭もってるわけじゃねえよ……。人との関わり方が分からねえんだよ……。今更、社会に出ろって、そんなの無理だし、どうしろってんだよ。子供部屋おじさんなんてレッテル張られて、そんで蔑みの目線で見られるのがオチだろ?悔しいよ」
?
O「あ、あれ、身体が、痺れてきた……なんだこれ……?」
ガラッ
襖を開けて母親が現れた
O「あ、ババア。ちょっと助けてくれ、身体が」
母親「そうかい、味噌汁全部飲んだかい」
O「え?飲んだけど……?それより身体が」
母親「貴様のために味噌汁を毎日苦労して作った甲斐があったよ!!」
O「そ、それはどういう……」
ガタガタ震えながらOが呟く。
母親「毎日、味噌汁の中に微量の青酸カリを入れておいたのさ。穀潰しのお前を殺すためにね。やっと効き目が現れたようで良かったよ」
O「なっ……」
母親「どれ……身体は動かなくなってるね。ちょっと待ってな」
台所に向かう母親。その背中はいつもご飯を作ってくれた優しい背中とは違った。
戻ってきた母親が手に持っていたのは包丁だった。穏やかな顔をしていた。
O「え、なんだよ。待ってくれ」
サク
Oの太ももに包丁が刺さる。
O「ギャーーーーーーーーー!」
母親「ちょっと、うるさいね!!楽しみは始まったばかりなんだから黙ってなさい!」
ガムテープでOの口をグルグル巻く母親。
母親「これで叫び声も出せないね。あんた、ずーっと働かず、家も出ないで、鬱陶しいってずっと思ってたんだよ。腹を痛めて産んだけどね、お前みたいな穀潰しが生まれてくるのは望んでなかったよ!!」
サクサクサク
包丁でOの腹を何度も突き刺す。
サクサクサクサクサクサクサクサク
母親「お前の最後の晩餐が味噌汁っていうのも面白いもんだね。もっと美味しいもの食ってあの世へ行きたかったか?そんなことさせないよ」
サクサクサクサクサクサクサクサク
母親「お前なんか生まれてこなきゃ良かったんだよ、このっ!このっ!クソガキが!!」
サクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサク
Oは動かなくなっていた。
母親「ちょっと待ってくれよ。もう死んじまったのかい……。あんたにかけられた苦労、こんなものじゃないんだけどねえ」
サク サク サク
死体となったOに包丁を突き刺し続ける母親。母親は三日三晩、死体となった息子を刺し続けたそうな。
その後、Oの母親も首を吊って自殺したとBさんから聞きました。Oにとっては恐怖の味噌汁であり、母親は息子を殺して果たして救われたのか、疑問が残る話でした。