このダイヤジェイミーに勝てばダイヤ昇格……。
スト2から登場しているシリーズ屈指の人気キャラクター、エドモンド本田を使ってオレはランクマッチに挑んでいた。
LP13000からスタートしたのだが、いよいよダイヤ目前。オレの眼の前に立つキャラクターはジェイミー。かつてのメインキャラだっただけに、コイツが最後の門番として立ちはだかるのは感慨深いものがある。
「だがなジェイミー……、お前に情けはかけねえよ。いけ本田!百貫落としだ!!」
ドスコイ!!
空高く飛び上がった本田の百貫落としがジェイミーを押しつぶす。
DIAMOND RUNK UP!!
一応ダイヤ到達後も連戦して、10連勝も同時に達成できた。
「ハァハァ……、やったよ、本田。お前のお陰だ。」
「違うでゴワス。」
「……え?」
「違うでゴワス。ここまで来れたのはジブンのお陰ではないでゴワス。オヌシの的確な指示のお陰でゴワス。」
「そんなことあるもんか。」
「思い出して欲しいでゴワス。百貫落としやスーパー頭突きをジャストパリィされた日々を。」
「ッ……!!」
「そうでゴワス。ジブンは言うほど単純なキャラではないでゴワス。巷では百貫落としや頭突きをパナしているだけで勝てるみたいな言われ方をしているでゴワスが、ジャストパリィされたら終わるでゴワス。」
「確かに……。そう考えると難しいキャラだよな、エドモンド本田は。」
「スーパー頭突きは相手の虚を突かないとジャストパリィや昇竜拳で反撃され、百貫落としもジャストパリィの格好の餌でゴワス。角度や間合い、速度といった緻密な計算が出来てこそジブンを使いこなせるのでゴワス。」
「……誇って良いんだな?エドモンド本田でダイヤに来れたということを。」
コクリ
無言で頷くエドモンド本田。
そう、エドモンド本田の言う通りだ。確かに突進技は強い。だがモダンの昇竜持ちには不利だし、ジャストパリィを完全に使いこなせる相手には無力だ。
いかにパリィを狙われないようにするか、そんな頭脳系立ち回りが必要なキャラだったんだ。ドライブインパクトだって噛み合うと痛い目に遭う。
「ジブンは、守りも弱いでゴワス……。」
悲しい顔でそう切り出したエドモンド本田は自身の弱みを切実に語っていった。
OD技に無敵技が無いこと。ODスーパー頭突きはアーマー技なので投げに弱いこと。つまりエドモンド本田は投げ重ねに弱いということ。
そう、エドモンド本田は弱い。だからこそ常に逆択をチラつかせるような戦い方が必要だった。
スーパー頭突きからのODスーパー頭突き。この逆択はハッキリ言ってクソ感が強いが、これも読み合いのひとつ。
また、無敵があるスーパーアーツLv1の発揮爆砕も自身を守る貴重な防御手段となる。
「……といったように、守るのが苦手でゴワス。ハハッ見た目とは裏腹でゴワスな。」
そういうと本田は自嘲気味に笑みをこぼした。
「関係ねえよ!!」
「!?」
「お前の守りが弱いとか関係ねえよ!オレは性能とかじゃなくて、お前自身が好きだからお前を選んだんだ!!」
――その夜、オレは本田を抱いた。
激しく愛を確かめあった夜が明けた。
ダイヤ到達時のエドモンド本田の勝率は約70%だった。ハッキリ言ってジェイミーダイヤよりも圧倒的にラクだった……。なんなら最後に戦った対戦相手のジェイミーは全くパリィ使っていなかった。
しかし、これは努力の賜物だろう。そうでなければエドモンド本田に失礼だ。
「エドモンド本田、お前は強くなったよ。スト5に比べて。」
「ジブンも、多くの人から使われるように努力したでゴワス。ただ、強くなりすぎてしまったせいか世間でクソキャラと叩かれているのが少し悲しいでゴワス……。」
「チッ、出る杭は打たれるってことかよ……。それならオレがそいつらに文句言って……」
バチンッ!
本田がオレの頬を平手打ちした。
「どうかジブンを叩く人たちを恨まないで欲しいでゴワス。オヌシがジブンを愛してくれるだけで、いまは幸せでゴワス。悲しいでゴワスが、オヌシが居るから生きていけるでゴワス。」
「本田……。」
世間でクソキャラと叩かれ、エドモンド本田が心に深い傷を負っていたことを今更ながら気付いた。バカだった。なんで気付かなかった。いくら本田の身体が強靭でも、心についた傷は一生癒えないんだ。
「辛かったら言えよ、オレが居るから。」
「……ゴワス。」
熱い接吻を交わし、オレは次の使用キャラを模索することにした。
FIN